昔からテレビドラマやギャグ漫画でもよく見かける、「おばあちゃん、もうご飯食べたでしょ!」というお決まりのセリフ。
自分の家族に使うのは仕方ないと思いますが、介護士がこのセリフを言うのは絶対にNGです!
そりゃそうだ!
当たり前じゃん?
そう思う介護士が多いと思いますが、その理由をしっかりと言葉で表せますか?
なんとなく使ったらダメな気がするのはわかるけど、理由を問われるとちょっと困る…という方は多いのではないでしょうか。
「おばあちゃん」と「もうご飯食べたでしょ!」の2つにわけて解説していきたいと思います。
介護士が利用者さんをおばあちゃん呼びはアリ?
結論から言うと、利用者さんを「おばあちゃん」、「おじいちゃん」と呼ぶのはNGです。
利用者さんは、あなたのおばあちゃんでもおじいちゃんでもありません。
〇〇ちゃんなどの愛称で呼ぶのも、もちろん良くないです。
例え認知症であろうと、いつもニコニコしている方であっても、相手はお客様。
お金を払って介護サービスを受けてもらっている以上、そこの線引きは必要になります。
冷たく聞こえるかもしれませんが、この線引きは介護士を守ることにもなるのです。
仲良くなり過ぎてしまうと、「あなたになら頼める。」「他の人には頼めないから。」と本来の仕事とは違ったお願いをされやすくなります。
それが行き過ぎると、「他の介護士さんは嫌だ!」「あの人はやってくれたのに、あなたはやってくれないの!」などトラブルに発展しかねません。
また、介護士が利用者さんを「おばあちゃん」や「〇〇ちゃん」といった愛称で呼んでるのを、その家族や外部の人達、見学に来た方はどう思うでしょう。
アットホームな良い施設だと思いますか?
ほとんどの方は、そうは思いません。
自分の親が介護施設でそのような呼び方をされていたら、バカにされているとすら感じますし、立派だった親が若い子に〇〇ちゃんなど呼ばれている姿は見たくないです。
そして、怖いことに介護の経験が長ければ長いほど、この感覚はマヒしていきます。
その方が親しみやすいと考えるのであれば、呼び方ではなく他の方法で親しくなりましょう。
しっかりと時間をとって傾聴する、ボディータッチを心掛けるなど親しくなる方法は他にいくらでもあります。
もちろん、介護の現場では柔軟に対応することが多いので例外もあります。
例えば、「おばあちゃん」と呼ばないと怒り出す、愛称で呼ばないと反応してくれないなどあるとは思いますが、基本的には名前か苗字で「〇〇さん」と呼ぶようにしましょう。
もうご飯食べたでしょ!は絶対NG
普段からこんな言い方をする人はいないと思いますが、イライラしていてつい大きな声になってしまったり、「もう〇〇したでしょ!」みたいな言い方になったりすることってありませんか?
主に認知症の利用者さんを対応しているときに、つい口走りそうになってしまいます。
しかし、このように「もうご飯食べたでしょ!」と言い放ったところで、状況は悪化するだけです。
そのような言い方をした自分自身に対して自己嫌悪したり、相手の利用者さんを余計に興奮させてしまったりと何もいいことはありません。
それでもそのような言い方になってしまうのは、自分の感情コントロールが出来ていない証拠です。
介護士も人間なので、私自身仕事をしていて頭に来ることもあるし、こんにゃろ!と思うことだって当然あります。
何回おんなじこと繰り返すんだ…とだんだん疲れてきますよね。
そう思ったとしてもその感情を言葉に表すのと、自分の中でとどめておくのではとても大きな差があります。
自分の感情をコントロールするセルフケアの方法を知っておかないと、思わず口調が強くなってしまうことも…。
特に、認知症のある利用者さんの場合は、自分自身の感情と相手の感情がリンクすると言われています。
介護士の気持ちが穏やかでないと相手もどんどん不穏になっていき、手が付けられなくなる…なんて経験した方も多いのではないでしょうか。
イラっとした時には、一旦その場を離れてストレスを軽減させる呼吸法を試したりするだけでも気持ちはだいぶ楽になります。
介護者と利用者さん双方にとって一番良くないのが、そのままの状態で無理やり援助をしようとしたり、言いくるめようとしたりすることです。
相手に対して負の感情が生まれそうな時には、まずは自分自身の感情を落ち着かせてから対応するようにしましょう。
まとめ
「おばあちゃん、もうご飯食べたでしょ!」という言葉を2つにわけて、なにがどうダメなのかをお伝えしてきました。
利用者さんはあくまでも、介護士にとってのお客様です。
自分の身内のように接することが、愛のある介護ではありません。
また、認知症のある利用者さんの対応をする際には、普段よりも自分の感情と向き合いながら援助を行うようにしていきましょう。
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