介護保険が必要な高齢者と聞くと、認知症を患った方や脳梗塞などの後遺症でマヒがある重度の障害を負った方をイメージしがちです。
両親や祖父母が高齢であっても、元気だから介護保険は当分関係ないなと思われている方がほとんどだと思います。
しかし、買い物の途中で転んでしまったり、階段から落ちてしまったりして足や腕を骨折して普段通りの生活が送れなくなってしまった。
打ち所が悪く入院が必要になり、リハビリをしても今までと同じような生活を送るのは難しいと、お医者さんから告げられることもあります。
数年ぶりに実家に帰ってみたら、一人暮らしの親の認知症が進んでいて驚いたなんて話も少なくありません。
急に家族の介護が必要になってしまった!
あなたの家族がそんな状態になった時、どこを頼ったらいいのかもわからないと途方に暮れてしまいますよね。
そうならないように、介護保険の申請方法と家族の介護が必要になったときにやるべきことをお伝えします。
介護保険の申請方法
突然のことで何をどうしていいかわからない状態でも、どこに行けばいいのかだけでも覚えておきましょう。
市区町村の窓口で申請
介護が必要になった方の住んでいる市区町村の役所で介護保険は申請可能です。
そこで介護保険の申請方法だけでなく、市区町村ごとに行っているサービスについても聞くことが出来ます。
地域によって、オムツの無料支給などがあるところもありますので、利用できるサービスも一緒に聞いておきましょう。
地域包括支援センターに相談
役所以外にも、介護について相談できる場所があります。
それが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターには、社会福祉士、主任ケアマネージャー、保健師といった福祉の専門資格を持った人達がいます。
ここでは、介護に関することだけでなく地域の高齢者の相談にも乗ってくれるところです。
介護保険の申請に関するサポートも行っていて、無料で利用することが出来ますので、手続きに不安のある方は最初に地域包括支援センターに相談してもいいでしょう。
わかりにく場所にあったり、ビルの一室を借りてたりするところもありますので、「東京都港区青山 地域包括支援センター」といった感じで検索するとすぐに出てきます。
家族内で介護の方向性を決める
介護保険の申請と同じくらい重要なのが、家族で今後について話し合うことです。
その中でも特に重要なのは、以下の3つになります。
・誰がメインで介護者となるのか。
・在宅介護にするのか、施設に入所するのか。
・介護にかかる費用面をどうするのか。
この3つさえ家族での意見が一致していれば、スムーズにことが運びます。
特に、在宅介護か施設入所かの話は家族間で意見が一致していないと、トラブルに発展しやすいので方向性を決めておくことが大切です。
介護施設や老人ホームにお願いするのはなんだか可哀そう、と思われがちですが、今ではサービス付き高齢者向け住宅といった普通のマンション契約で入居できる住宅型の施設もたくさんあります。
本人の状態や家族が出来ること、費用面を客観的に見て方向性を決めていきましょう。
お金の話はこのタイミングでしておく
突然ですが、あなたは両親や祖父母の収入を把握していますか?
おそらくほとんどの人は、自分の両親や祖父母が毎月どれくらいの収入があって、ひと月の生活費がいくら位かかっているのかを知りません。
しかし、その状態ではいくらまで介護のお金を掛けられるのか、施設の入居費用はあるのかなどわからない状態で進めることになります。
もちろん、しっかりしていて自分で全て把握している方もいますが、施設に入るとなった場合は連帯保証人が必要です。
仮に入居した家族の貯金が無くなって、毎月の費用が払えなくなった場合は連帯保証人に請求が行きます。
施設入居の場合は、保証人ではなく連帯保証人であることがほとんどです。
この違いは大きく、保証人よりも重い責任が課せられます。
そのような事態が起こらないように、前もってどれくらいの貯金があるのか、年金はいくら貰っているのかなど、具体的な話をしておきましょう。
介護が必要な家族が居ることを職場に伝える
働きながら介護が出来るのか不安に思われる方も多いと思いますが、出来る限り仕事は続けた方が良いです。
仕事を辞めて24時間365日一緒に居ると介護のストレスが溜まるだけでなく、外に出る機会も減ってしまいます。
献身的な介護も大切ですが、介護する側の人間が鬱病などの精神疾患を患ってしまっては元も子ありません。
また、仕事を辞めることで金銭的な問題も出てきます。
かと言って、仕事と介護を両立させるのは簡単なことではありません。
例え訪問介護やデイサービスなどを利用していたとしても、ケアマネージャーとの打ち合わせや病院の付き添い、役所への手続きなど思った以上に時間が取られます。
急な状態の変化で、救急搬送されたりすることもあるでしょう。
そんな時に職場の理解を得やすいように、直属の上司にだけでも介護をしていることを伝えておくことが重要です。
また、労働法によって定められた介護支援制度もあります。
介護休暇や介護休業は労働者の権利であり、法律上、社員が申請したら会社は受理しなければなりません。
しかし、会社側からそのような提案をしてくることはまず無いので、介護を手助けしてくれる制度があることを知っておきましょう。
介護支援制度
介護支援制度 | 内容 |
介護休業 | 3回を上限に最大で93日間の休暇が取得できる。 |
介護休暇 | 最大で5日間、介護対象が2人以上なら10日間取得できる。また、時間単位での取得も可能で、有給休暇とは別の休暇として扱われる。 |
仕事と介護の両立が辛くて、退職するしかないと決める前に介護支援制度を思い出してください。
人によっての事情やそれぞれの考え方があるので一概には言えませんが、介護が終わった後もあなたの人生は続きます。
その時に、再就職しようとしても中々雇ってもらえないかもしれません。
自分自身の人生も考えながら、1人だけで抱え込まず周囲の人達のサポートを受けながら介護をしていきましょう。
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