認知症のBPSD(周辺症状)は体調不良が原因の可能性も!不穏な理由を探ってみる

認知症を患った方の中には、思いもよらない行動をされてビックリすることも少なくありません。

「物取られ妄想」や「徘徊(ひとり歩き)」などが認知症のイメージにあると思います。

しかし中には、蹴ろうとしてきたり、何も盗んでいないのに泥棒!と大声で叫ばれて焦ってしまうことも。

中々理解できない行動に戸惑ったり、イラッとすることもあると思います。

ただ、人によっては本当に些細なことが原因で不穏な状態になっているだけの場合もあるんです。

落ち着いて冷静な目で観察することで、認知症の方が何を求めてそのような状態になっているのかを見極め、対処ができる様になると認知症ケアもうーんと楽になります。

目次

認知症のBPSD(周辺症状)とは?

まず、認知症には中核症状と周辺症状の2つに大きく分けることができます。

認知症の中核症状というのは、認知症を患ったほぼ全ての人に共通する症状のことです。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 実行機能障害など

日付がわからなくなったり、夏なのに冬服を着込んでしまうなどの症状が当てはまります。

そして、BPSD(周辺症状)というのは認知症だから全員が同じ症状になるとは限りません。

その方の置かれている環境や身体の状態、気持ちの問題や性格など色々なものが複雑に絡まり合った結果出てくる症状です。

このBPSDが認知症ケアで難しいと言われる理由は、そこにあります。

そして、なんらかのBPSD(周辺症状)が認知症にかかった方の80%の人に見られるのです。

10人の認知症の利用者さんさが居たとしたら、8人はなんらかの症状が出ていることになります。

しかも、それぞれみんな同じ症状ではありません。

利用者さんの症状によっては、介護士の大きな負担となることから、対応困難な利用者として扱われることも多く、虐待の被害者になりやすいことも問題となっています。

中核症状と周辺症状の違い

認知症の中核症状と主なBPSDによる症状は以下の通りです。

  • 記憶障害
  • 判断力の低下
  • 見当識障害
  • 実行機能障害
  • 失行や失認
  • 失語

中核症状に加え、様々な要素によって周辺症状が出てきます。

  • 妄想・幻覚
  • 興奮
  • 暴言・暴力
  • 睡眠障害・不眠など

認知症の中核症状は、認知症の種類や進行具合によって人それぞれ差はあるものの、似たような症状が出てくるので、ある程度はケアの方法も確立することが出来ます。

しかし、その時のほんのちょっとの違いや、本人の心理状態によって起きるBPSD(周辺症状)には、正解というものがありません。

もちろん、治療して治すことも出来ませんので、認知症ケアで出来ることはその症状を緩和させることです。

そして、症状を緩和させることによって、穏やかに生活してもらうことを目的とします。

そのために大切なのは、BPSD(周辺症状)の考え方です。

BPSDに対する介護士の考え方

認知症の利用者さんから怒鳴られたり、寝ていたはずなのに見回りにいったら廊下を歩いていてうんざりする…。

そんな場面に出くわすことも、介護士であれば多いと思います。

「まーた外に出てきたよ。何回言っても出てくる…。」

なんて思ったりして困ってしまいますよね?

その、「困ったな…何とかしないとな…。」という気持ち、実はその利用者さんも全く同じ気持ちなんです。

困っているから外に出てくるのであって、別になにも問題がなければ出てきません。

  • 寝て起きたら知らない場所だった。
  • なんか寒い(暑い)からここに居たくない。
  • なんだか落ち着かなくて不安だ。
  • 他に誰もいないのかな?外に誰かいるかな?

理由は様々だと思いますが、とにかく困っているんですよね。

そしてその困りごとをなんとか解決しようとして行動しています。

ここでは徘徊(ひとり歩き)を例に出しましたが、暴言や暴力も同様です。

何かしらの理由や目的があって、その行動に繋がっています。

介護されたくないのか、恥ずかしいのか、どこかが痛くて触ってほしくないのか、その困りごとはなんなのか?という部分に焦点を当てて考えることで、原因となる理由が見えてくるようになるのです。

私達が困ったなぁ…どうしようか…と考えているのと同様に、利用者さんも困ったなぁ…と考えていると思うだけでちょっといつもとは違った視点で見れるようになりますよ。

認知症で起きる症状と困りごとの一例

実際に、どんな症状によって利用さんが困っているのかを例として挙げています。

なにが原因でそのような行動をしているのか、そう考える参考になれば嬉しいです。

それでは、認知症の中核症状とBPSD(周辺症状)に分けてお伝えします。

中核症状の症状とその困りごと

こちらでは、進行具合によっての違いはありますが、認知症を患ったほとんどの方に当てはまる症状と困りごとの例をお伝えしています。

認知症の中核症状によって起きる、本人の困りごとの一例です。

「なるほど、こんなことに困っていたのか」と考えるきっかけになってくれればと思います。

記憶障害

アルツハイマー型認知症では、初期から見られる症状の1つ。
脳の記憶に関わる部分が障害されることによって、「すぐに忘れてしまう」「新しいことが覚えられない」といった障害が起きる。

記憶障害で起きる利用者さんの困りごと

  • 「今何時?」や「ご飯まだ?」と本人は初めて聞いたのに、「さっきも言ったでしょ!」と言われて、混乱してしまう。」
  • 大事な物をどこをしまったか忘れてしまい、見つからず困っている。

判断力の低下

物事を順序立てて説明するのが難しくなる。
言われたことを理解するスピードが遅く、判断力が低下する。

判断力の低下で起きる利用者さんの困りごと

  • 医者から病状の説明をされても理解が出来ない。
  • 質問されても、中々すぐに答えが出せない。
  • こうして欲しいという要望が上手く伝えられず焦る。

見当識障害

今日の日付や時間、自分がいる場所、周囲の人間と自分の関係性がわからなくなる。
「時間→場所→人」の順番でわからなくなっていく。

見当識障害で起きる利用者さんの困りごと

  • 今が夏なのか冬なのかわらず、どんな服装がいいのかわからない。
  • 自分の部屋がどこかわらなくなってしまった。
  • トイレやお風呂の場所がわからない。

実行機能障害

状況把握や計画をたてた行動が難しくなる。

実行機能障害で起きる利用者さんの困りごと

  • 今してる行動の次に何をしていいかわからなくなる。
  • 家事や買い物に時間がかかる。

失行

いつも無意識に出来ていた動作が出来なくなる。
何かを指示されても、うまく体を動かせない。

失行による利用者さんの困りごと

  • 服を着る順番や、脱ぐ順番がわからなくなってしまった。
  • 指示されても、その通りに体が動かない。

失認

視力などに問題はないが、そこにあるモノや物事の認識ができない。

失認による利用者さんの困りごと

  • 目の前に置いてあるのに、認識で出来ずに、ぶつかって転んだりしてしまう。

失語

言葉を話す機能に問題はないが、言いたいことを言葉にできなかったり、聞いた話の内容を理解する事ができなくなる。

失語による利用者さんの困りごと

  • 何か言われても、相手がなにを言っているかわからない。
  • 欲しいものがあるけど、物の名前が出でこないので「あれ」「それ」となり、言いたいことが伝わらない。

BPSDの症状とその困りごと

認知症のBPSD(周辺症状)によって起きる、本人の困りごとの一例です。

様々な症状がありますが、主な症状とそれによって本人がどう思っているのか?という例を紹介しているので、参考にしてみてください。

徘徊(ひとり歩き)

「トイレへ行きたい」「出口を見つけたい」など、なんらかの目的をもって歩いている。
歩いたものの、なぜ歩き出したのかを忘れてしまうことも。
人によっては、何時間も歩き続けることもある。

徘徊(ひとり歩き)による利用者さんの困りごと

  • いつもと違った環境で居心地が悪い
  • 知らない場所なので、逃げ出したい。
  • 探している物や場所、人がみつからない。

帰宅願望

施設から家に帰りたいという欲求が強い。
家や自分の部屋なのに、「家に帰ります」「私の部屋はどこですか?」と言って出て行こうとする。

帰宅願望による利用者さんの困りごと

  • 周りに知っている人がいなくて怖い。
  • 誰も自分を気にかけてくれない。
  • 自分の慣れている場所じゃないので、不安。

介護拒否

誰かの手を借りないといけない状態にも関わらず、知らない人からの介入を拒む。

介護拒否による利用者さんの困りごと

  • 誰にも迷惑をかけたくない。
  • 信用していないので、体を触られるのが怖い。
  • 介助されるのが恥ずかしい。

焦燥感

中々思い通りにいかず、気持ちだけが焦ってしまう。
思うように行かないことで、イライラしたりすることも。
落ち着きがなく、ソワソワと動き続けることもある。

焦燥感による利用者さんの困りごと

  • 気持ちだけが焦ってしまい、中々落ち着かない。
  • なんらかの助けを訴えているのに、誰も助けてくれなくてイライラする。

幻覚

あるはずの無いものが見えたり、聞こえないはずの声を聞いたりする。

幻覚による利用者さんの困りごと

  • 自分には見えているのに、「見えない」「知らない」と言われて怖くなったり、嘘をつかれていると思ってしまう。
  • 自分の悪口が聞こえて、中々眠れなかったり、人を信用できなくなる。

妄想

現実には起きていないことを、真実だと思い込んでしまう。

妄想による利用者さんの困りごと

  • お金を置いていたはずなのに、無くなったと思い泥棒が入ったと思い込む。
  • 旦那さんや奥さんが浮気していると思ってしまい、責め立てたり怒ったりする。

まとめ

BPSDには、行動症状と心理症状に分けて考えられます。

行動症状 心理症状
帰宅願望 不安
暴言・暴力 依存
介護拒否 焦燥感
昼夜逆転 幻覚・妄想
失禁など うつ症状など

認知症の方は中々うまく自分の気持ちや思っていることを表現できず、その結果として問題行動を起こしていることがほとんどです。

便が何日も出ていなくてお腹が痛くてイライラしていたり、寒いけどどうしていいのかわからず、暖かい場所を求めて歩き回ることもあるでしょう。

BPSDの症状には必ず原因があるので、その理由を探し出して問題を解決してあげることで症状が緩和されることもあります。

まずは、何に困っているのかを考えて対応してみましょう。

こよみ
介護士歴10年
介護福祉士/老健/有料老人ホーム/サ高住
管理者と現場主任を経験。
介護業界は本当に稼げないのか?
どうすれば給料を上げることが出来るのか、年収を上げるにはどうすれば良いのかを本気で考えています。
介護士としての日常や考え方を発信したり共有したいと思ってブログを立ち上げました!
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